バイク用サイドバッグの選定
積載用具の中で最初に購入したものはサイドバッグでした。メインのシートバッグよりも先になったのは、シートバッグは有力な製品がいくつもあり、選定に悩んでいたためです。シートバッグ決定は先送りとし、サイドバッグサポートなどの準備が必要なサイドバッグから検討しました。
まず、大きさについてですが、キャンプ用具の収納時の長さを考えると、長辺が40cm前後のものが入らないといけません。重心を下にするためにも、左右の張り出しを抑えつつも、なるべく容量を確保したいです。
素材についても、金属製のハードタイプ、硬めの樹脂で構成されたセミハード、厚手のビニールのソフトタイプの3種類があります。
主にキャンプ用具を入れるサイドバッグですから、正直あまりコストは掛けたくないです。もしかしたら今回一回の使用で終わりなるかもしれません。サイドバッグというややサブ的な位置づけのバッグですから、メルカリなどでの需要も限られるのではないかと思うと、お手軽なものとしたいです。
コストの観点からすると、本格的なハードケースの導入はナシとなります。耐久性や使い勝手の観点ではベストだと思いますが、それは利用頻度の高い方向けかと思いました。
となるとセミハードかソフトタイプの二択となるのですが、候補としては以下のようなものが残りました。他にもいくつか候補がありましたが、当時はあまりどのブランドをが良いのかもよくわからなかったということもあります。
TANAX ツアーシェルケース2 MFK-248 (Amazon)
ツーリングバッグでは絶大な信頼を得ているTANAXさんのサイドバッグ。形は直線的なラインで形状もボックスタイプなので使いやすそうです。取り外しも楽にできるようで便利そうなのですが、合計40Lと小さめなところが残念でした。お値段的にも2万円オーバーなので、最後の2つに残ったのですが見送りました。
キャンプツーリングによく行くよという方にはこのお値段を払う価値はあると思いますが、初心者には敷居が高かったです。
TANAX マルチフィットサイドバッグL MFK-187 (Amazon)
上記と同じTANAXさんのサイドバッグですが、合計38Lと56Lで可変容量のタイプ。お値段は1.5万円とだいぶ安くなります。形状がスポーツタイプに合わせて流線型となっているため、収納としては使いづらそうです。その分長辺が50cm程度なので長いものが入りそうではありますが。
また、これを56Lに拡張した状態を公式で確認したところ結構横に出っ張るようです。なるほどマフラーがかち上げになっているマシンだとこの流線型の形状でないとひっかかってしまうということなのですね。
私としては、あまり横に出っ張って欲しくないのと、エストレヤの場合はマフラーは下についているので、尻すぼみデザインにする必要がないため、見送りです。レインカバーも必要になるのでその点もパスした要因です。
最終的にはこちらの防水バッグにしました。
WILD HEART 防水 サイドバッグ 50 L(Amazon)
長さ42cm、高さ29.5cm、幅23.5cmとありますが、ソフトバッグなので大きさの融通は利きます。入れていないときは、ある程度ぺしゃんこにできます。素材にハリがあるのでそれほどぺったんこにはなりませんが。
そして「防水」というのがよいと思いました。雨が降ってもカバーを掛けなくてよく、レインカバーはひもでしばってもやはりバタバタして、よく飛んでいってしまうらしく、飛んだら予備でも持っていかない限りもう濡れっぱなしです。飛ないようにするには上からツーリングネットで押さえる必要があったりと、ちょっと面倒です。
防水バッグのデメリットは、開閉が面倒なので走行中に気軽に開けられない、中身の盗難防止のための鍵をかけにくい、という問題があります。
今回は入れるものが、キャンプ用具とか、非常時に使うバイク補修用具なので、頻繁な開閉はなくてよいと思っています。
また鍵をかけにくいという問題については、ワイヤー式のダイヤル錠を導入するということで対応することにしました。チャックをちょっと開けて盗んでいくというような、ちょっとした出来心の盗難に対抗したいので、開け締めが面倒な防水バッグでは鍵すらかけなくてもよいかもしれませんが、鍵がぶらさがっているだけでもカカシ効果はあるかと思いますし、実際にかければ安心です。もともと、まるごと盗むとか、切り裂いて盗むとか、そういう本格的な盗難には対策しないつもりです。
そして、お値段は1.3万円程度とお手軽ゾーンです。1万円を切る安いものもあるようですが、この「WILD HEART」というブランドは同一デザインのシートバッグも出しているので、そのシートバッグも購入する可能性があり、また、目立った色にしたかったという思いもあります。エストレヤは遅いバイクですので、どうしてもトロトロ運転になるでしょうし、雨が降ったり霧がかかった道路では、なるべく遠くから視認していただきたいので、色は黒ではなく、蛍光色のようなものを選びたいと思いました。
つらつら書いてきましたが、これを選定したポイントを以下にまとめます。
- 容量が左右合わせて50L
- 直方体形状で使いやすそう
- 幅が片側約24cmとそれほど左右に出っ張らない
- ソフトバッグなので大きさが多少フレキシブル
- 防水バッグでカバー不要
- 値段が安い
- 視認性の高い色
- 同一デザインのシートバッグもある
デメリットへの対応は以下のように整理します
- 開け締めが手間→ツーリング中に使うものは入れない
- 中身の盗難防止→ワイヤー式ダイヤル錠で対応
サイドバッグサポートの購入
今回ソフトタイプの防水バッグを導入することにしましたので、サイドバッグ取付けの際のストラップの巻き付けのため、そしてバッグが後輪に接触しないよう、バイクにサイドバッグサポートを装着することにしました。2015年式のエストレヤに適合するサイドバッグサポートは、2種類ぐらいあるようですが、今回はリアキャリア(キジマさんのリアキャリアの耐荷重が5kgで、純正リアキャリアの耐荷重3kgよりも上だった)も導入することから、両方の同時装着が保証されているキジマさんの製品「バッグサポート クロームメッキ エストレヤ用」を購入しました。この製品は左側用と右側用があるので、それぞれ調達する必要があります。
キジマ(Kijima) 「バッグサポート スチール製クロームメッキ仕上げ 左側用 エストレヤ 210-463 (Amazon)」
キジマ(Kijima) 「バッグサポート スチール製クロームメッキ仕上げ 右側用 エストレヤ 210-4631 (Amazon)」
左側用はメルカリにあった2500円のもの、右側用は当時中古が見当たらなかったので新品をAmazonで3440円で購入しました。
サイドバッグサポートの取付け
車体にサイドバッグサポートを取り付けるのは、リアショックアブソーバーのボルトを一度抜く必要があるため、それなりの工具や感覚がない場合はバイク屋さんにお願いしたほうがよいと思います。私のエストレヤにはセンタースタンドを付けており、また昔から機械いじりは好きなほうなので自分で取付けました。
用意した工具は下記の通りです。なお、私の場合、過去のカスタムで、リアフェンダーステーボルトが六角レンチで回すタイプに換装されていたので、ノーマルの場合は適宜対応する工具を使用します。
- サービスマニュアル:自分でいじるなら必須と思います。
私はWebikeさんのサイトで購入しました。 - ブレーキレバーロック(輪ゴムの束でも代用可)
- パンタグラフジャッキ(1tクラスの安価なものでOK)+段ボール切れ端
- 六角レンチ(8mm):リアフェンダーステーボルト外し用
- メガネレンチ(12mm):リアショックアブソーバー取付ボルト外し用
- スパナ(14mm):フェンダー裏のナットを押さえるため
- トルクレンチ(29.5Nmと34Nmに対応したもの):締め付け用
- ソケット12mm(トルクレンチの差込角に対応したもの):リアショックアブソーバー取付ボルト締め付け用(34Nm)
- 六角レンチソケット6mm(トルクレンチの差込角に対応したもの):リアフェンダーステーボルト締め付け用(29.5Nm)。サイズが異なるボルトに換装したので6mmです。
大まかな手順としては下記の通りですが、素人手順ですので、参考にされる場合は自己責任でお願いします。
- センタースタンドを立てる:車体を直立させたい
このセンタースタンドを立てるのが難しく、たまにしかやらないのでコツを忘れてしまいます。毎回「重いバイクのセンタースタンドのかけ方講座(二宮祥平ホワイトベース)(YouTube)」を参考にやっています。
- ブレーキレバーをロックする:車体が前に動くとあぶないから
- パンタグラフジャッキをスイングアームに当て(段ボール片などを挟む)、少し上げておく:後で上げ具合は調整するがこの時点である程度かましておきたい
- 前後のボルトを外す:ショックアブソーバ取付ボルトについては、パンタグラフジャッキを調整して抜きやすい感じにする
- ボルト穴合わせ:ショックアブソーバ取付ボルトの通る穴が貫通するようにパンタグラフジャッキを調整する(必要に応じてフェンダーをちょいと持ち上げる)
- サイドバッグサポートも一緒に前後のボルトに通して仮締め
- 裏から14mmスパナで押さえつつ、トルクレンチで前後のボルトを適正値(ショックアブソーバ側34Nm、リアフェンダー側29.5Nm)に締める。
私はプレセット式トルクレンチを使っています。ホームセンターで手に入るお手軽なもので、あまりプロの方向けではないので品質としては微妙ですが、これで充分というコメントもあり、これで。「E-Value プレセット型トルクレンチ 差込角 9.5mm 20~110Nm ETR3-110(Amazon)」3500円ぐらいです。
www.amazon.co.jpノックの感覚を覚えるためにも、いきなり適正値をセットするのでなく、一度低めの設定値で回してカクッというノック感を確認してから、適正値に設定して本締めをしています。
なお、トルクレンチなら東日さんやTONEさんのとか、あるいはデジタル式のちゃんとしたものもよいのですが、さすがにお値段が高いのと、デジタル式の場合は必ずしもデジタル表示が見えやすい角度での取付作業にならないことから、よりシンプルなプレセット式(ノック)を使っています。
たまにしか使わないのでそこそこの品質ならあまりお金を掛けずに対応します。とはいえ安全にかかわるところについては、バイク屋さんにオイル交換のついでに確認してもらうことも必要だと思います。
ここではサイドバッグサポートの取付けに絞って記載していますが、作業の手間を削減するため、実際にはリアキャリアも同時に取り付けてしまっています。
サイドバッグの取付け
サイドバッグの取付け方は、車種によって工夫するものなので、販売サイトの動画を見ても、あまり参考になりません。ですが、あまり難しく考えなくてもよく、まずは上からかぶせて、幅をベルクロとストラップで調整。
両サイドのリア側のストラップは左右を連結するように適当にリアキャリアあたりをくぐらせて取り回す。写真ではキャリアの上を通していますが、最終的にはストラップがキャリアの上に出ないような巻き方に変えています。それほど何でもありだということです。
フロント側はそれぞれ手近の適当なところに巻き付ける。私は最初にフレームに回したのですが、バッグをもう少し後ろにしたくて、そうなるとストラップの長さが足りないため最終的にはサイドバッグサポートに巻き付けました。
サイドバッグは荷重が左右に振り分けられているので、シートバッグに比べればそれほどタイトに巻き付けなくても大丈夫と思います。
荷物移動用の収納袋を購入
防水バッグはストラップでバイクに拘束するのですが、取り外すのが大変なので、サイドバッグはバイクにつけたまま、中身だけ取り出して移動できるようにしなければなりません。
100均とか売っている押入れ収納用の袋がよいというコメントをネットで見かけたので適合しそうな袋をみつければ良さそうです。収納袋にはキャンプ道具だけいれておけばよく、バイクに置きっ放しにするバイク補修用具はサイドバッグの底に入れたままでよいでしょう。
近くのCanDoを見たら330円でちょうどよさそうなサイズのものがありましたので、これを2つ購入しました。
大きさの比較
単位cm | 長さ | 高さ | 幅 |
サイドバッグ | 42.0 | 29.5 | 23.5 |
収納バッグ | 47.0 | 36.0 | 20.0 |
実際は、こんな感じで入れて、出す時はバッグのストラップを上に持ち上げ、バッグを抜き取ります。バイクに常備するものはこのバッグの下に入れておきます。
キャンプ道具一式を入れた状態はこんな感じです。
ワイヤー式ダイヤル錠を購入
さて、最後の課題は中身の盗難防止です。私の防犯対策は、盗難する強い意志がある犯罪者への対抗までは考えません。ちょっと目に入って、出来心ででやってしまうレベルに対応しようと考えています。したがって、遠目に盗んでしまおうという気が起きにくい見た目にすることや、周りと比べて盗むのが面倒だと思わせることが重要だと考えています。
この防水バッグは、中身を開けるには、片側につき、4箇所のバックルを外して、ベルクロのジッパーを開く必要があるため、かなり面倒です。チャックをちょっと開いて中身をさっと取り出すようなことができません。この開閉における利便性の低さがかえって、素の状態でも高い防犯性に寄与しているのですが、トドメとして、あるいは自分自身の安心感として、ワイヤー式のダイヤル錠を片側2個ずつ、左右合計4個つけることにしました。
購入したのはこちら。「ZHEGEのTSAダイヤル式ワイヤーロック(Amazon)」です。
3桁の製品でも見た目充分かもしれませんが、4桁でさらに面倒臭さを演出します。
片側につきバックルは4つありますが、4つつけていたら自分が面倒になってしまうため、サイドに1個、リアに1個つけることにしました。遠目にはこれでロックがついていることがわかるので、充分なカカシ効果があると思います。
サイドバッグへの取付けは、樹脂製バックルに開いたスキマや、ループになったストラップにこのワイヤーを通してロックします。ちょっとキツメのところもありますが、一度通してしまえば、そのきついところにはワイヤーはかけたままにするので、施錠・解錠の度にそのきついところに通すわけではないので問題ないかと思います。
余ったストラップの処理
ここで蛇足をひとつ。余ったストラップは、プラプラしてしまいますね。特に後輪など駆動部に絡まると危険です。普通にはそのストラップのどこかにストラップ留めがついていて、そこにくぐらせて絡めたりして処理します。
ここでは私が愛用しているいくつかのストラップ処理のアイテムを紹介します。今回の積載にも導入しました。
太めのストラップ処理に使います。幅5cm程度まで対応。
細めのストラップ処理に使います。幅3.5cm程度まで対応。
これも細めストラップ処理に使います。幅2.5cmまで対応。
これらは便利なのと、時々失くすので、いくつあってもよいもので、いつも余裕を持って購入しています。
今回もサイドバッグのメインのストラップは太め対応の「ベルト・バンド」を使用し、細いストラップには適宜「テープ・バンド」か「ウェブドミネーター」を使いました。
特にメインのストラップは、バッグの中身の増減に応じて長さを変えますが、ホックをポチッと外して長さを調節したら、くるくる巻いてホックを留めるという使い方で処理していました。このソロ・ツーリストのシリーズは、このバンドの裏表両側でホックが留められるというのがミソで、余ってしまう部分を極力短くすることができ、スッキリとするのでこれに限らず普段から愛用しています。
実際にどうだったか
サイドバッグは大活躍でした。次回もこれで行きます。
収納バッグの出し入れは、収納バッグのストラップを肩にかけつつ両手でサイドバッグの口を上下に振ることでスムーズでした。また、入れるものが形的にちょっと大きくてもソフトバッグなので入れることが可能でした。
中身の左右バランスには気をつけたほうがよいと思います。どうやっても左右均等にできない場合は、右に重い方を入れました。左足をつくことが多く、その際にバランスを崩したくないからです。
ツーリング中、一度立ちごけしたことがあり(!汗)、その時も私の脚やハンドルレバーを守ってくれたと思います。
また、サイドバッグ自体はバイクに装着したままなので、キャンプ場で荷物を全部下ろして設営したあと、身軽になって買い出しにバイクで出かけるときに買ったものを入れるのに重宝しました。
防水バッグだったことも便利でした。走行中雨によく降られたのですが、防水カバーなどを気にしなくてよいです。道中40年以上ツーリングをしているベテランライダーの方と会話する機会があり、その方がおっしゃっていたのですが、防水カバーはよく飛んでいってしまうからあまり良くないよとのことでした。その方はというとガチなツーリングライダーなので、サイド&メインともジュラルミンのハードケースでいらっしゃいました。投資額が半端ないです...。
ワイヤーロックは、サイドバッグについては、意外と使いました。特にキャンプ道具はホテル泊の時は不要ですから入れたままで駐車場に停めますので、安心のためにもワイヤーロックはかけました。駐車場がホテルの敷地外の一般の駐車場であったり、敷地内でも一般道に面したところだと若干不安なのでロックしました。