マイクアダプターとマイクの音質的相性
前回の投稿では、外部電源で給電しながら外部マイクを使うというスタイルにおいて、サードパーティのTypeCマイク分岐アダプターが外部マイクを認識するかどうか、機能的な観点で検証しました。
しかしながら、そもそもマイクは音声を録音するためのデバイスですから、できるだけまともな音質で録音できなければ意味がありませんよね。
GoProのときは、多くの方が使っているバッファローの安いマイクをメディアModに接続して使っていましたが、私が自分用に聞く分には十分な音質で録れていましたし、YouTubeには、いくつかのマイクの比較動画があり、いろいろ拝見したのですが、素人の私にはどれも十分な音質だと感じましたので、他のマイクについて音質検証をすることはありませんでした。
今回、DJI Osmo Action4にサードパーティの同時給電ができるマイクアダプターをいくつか購入し、またマイクもいくつか使って、実際にバイクに乗車・走行した状態で録音をしてみたところ、素人の私でもはっきりわかるほどの、かなりの音質差がありました。音質差というか、ものによっては、かなり聞き苦しくて、実用に耐えない組み合わせもありましたので、ここで共有したいと思います。
DJI Osmo Action4はマイクのゲイン調整ができる!
実際の検証結果に行く前に、GoProからDJI Osmo Action4に乗り換えて嬉しかったポイントのひとつとして、本体の操作でマイクのゲイン調整(ボリューム調整)ができるということです。
GoProではゲイン調整ができないので、マイクとメディアMod(マイクアダプター)の間に、簡単なボリューム部品を挟んでマイク信号を抑えていました。
そうしないと、バイク走行時にプツプツといったクリップ音のノイズが入り、聞くに堪えない録音になってしまうのです。GoProってホントにバイクVLOGと相性悪いですね。
DJI Osmo Action4のゲイン調整は、撮影待機画面で、パラメーターボタン→(PROモードになっていなければPROボタン)→マイクボタン→ゲインで調整画面を出し、左右にスライドさせて調整します。
パラメーターボタンをタップ
PROモードになっていなければPROボタンをタップ
PROモード画面でマイクアイコンをタップ
ゲインをタップ
左右にスライドさせて調整
パラメーター画面は撮影中には行けないので、撮影前に調整しておく必要があり、撮影しながら調整できないのが難点ですが、それでも本体でゲイン調整できるのは素晴らしいです。
ただ、ここでは「ゲイン」という表現になっていますが、感覚的には「ボリューム調整」という表現が近いように思います。一般的に「ゲイン調整」というと、上げていくとどこかで歪んでしまうような、逆に、割れてしまっている音はゲインを下げればクリアになるイメージかと思いきや、元の音が割れていると、上げても下げても割れたまま音量が上下するだけでした。音質的な影響はほとんどないようです。
今回の検証では、アダプターとマイクの組み合わせで、実際にバイク走行中に録音を行い、音質の評価をしつつ、それぞれに最適と感じる「ゲイン調整」値を探ってみました。
マイクアダプターの音質検証
さて、今回検証に使う機材は、以下の組み合わせです。
マイクアダプター
マイクアダプターは、前回の機能検証で、内蔵バッテリーなしでも外部マイクを認識してくれると確認できた以下のふたつです。
UGREEN ドングル型アダプター
このアダプターは接続順に関係なく外部マイクを認識してくれます。モバイルバッテリーを先に繋いでから、アダプターをカメラ本体に挿しても、アダプターをカメラ本体に接続してから、モバイルバッテリーを繋いでも問題ありません。
UGREEN「USB-C 3.5mm イヤホン変換アダプタ」(Amazon)
引用元:www.amazon.co.jp
ELECOM T字型アダプター
このアダプターは、カメラ本体に接続する前に、先にモバイルバッテリーを接続しないと、正しく外部マイクを認識してくれませんので、使用するときは、そこだけ注意する必要があります。
ELECOM「Type-C変換アダプタ USB PD対応 MPA-C35PDBK」(Amazon)
引用元:www.amazon.co.jp
なお、ELECOMにはこのT字型以外に、V字型にスプリットするものや、ドングル型も発売されていて、V字型について検証したところ、内蔵バッテリーを入れていないと、モバイルバッテリーを接続していても正しく外部マイクを認識してくれませんでした。
今のところDJI Osmo Action4では熱停止の報告が見当たらないので、内蔵バッテリーを入れたままの運用でも可能なようにも思いますが、それでもバッテリーは発熱しますし、炎天下での動作に不安を感じるため、運用候補からは外しました。
マイク
検証に使ったピンマイクは以下の3種類です。3極マイクには「マイク用の」3極メス→4極オス変換プラグを使って変換します(ヘッドホン用の3極→4極変換ではダメです)。変換プラグや変換ケーブルについては前回の投稿をご参照ください。
www.beginners-hokkaido-touring.net
なお、今回調べて初めて知ったのですが、この3.5mmプラグのピンマイクって、電気的な規格の幅が広くて、製品による特性のばらつきが大きいです。例えばマイクにかける電圧にしても2V~5Vだそうで、製品のインピーダンスも、バッファローで2.2kオーム、オーディオテクニカで1.5kオームです。
この要素に加えて、マイクアダプターが供給する電圧がそれぞれ異なるでしょうから、最適な組み合わせを探る必要があるようです。めんどー。
バッファロー(3極)
多くのGoProユーザーが使っていると思われる安価なマイク。Amazonで400円もしません。マイク本体がややごついですが、おかげでケーブルの短縮加工ができるので良いと思います。プラグがピンクなのもう~んと思いますが、黒いプラグが多い中、目立つのですぐに特定できるのでこれはこれで無駄ではないです。
BUFFALO「マイクロフォン BSHSM03BK(Amazon)」
引用元:www.amazon.co.jp
オーディオテクニカ(3極)
以前GoProのときに、予備として買ったマイクです。プラグがL字型なのと、ケーブルが1.2mと、この手のマイクにしては短めだったので選びましたが、非常時用に持っていただけで、これまで使っていませんでした。音質は良さそうなので使ってみます。
オーディオテクニカ「モノラルマイクロホン AT9904(Amazon)」
引用元:www.amazon.co.jp
ノーブランド(4極)
ノーブランド品は2つ購入しましたが、見た感じ中身は同じと思われ、ケーブルの短いこちらを試しました。
クロスロード「イヤホンジャック(3.5mm) 用 クリップ付き有線ピンマイク/ブラックTCPM-35BK(Yodobashi)」
検証結果
上記2つのマイクアダプターと3つのマイクの組み合わせ、6通りについて、それぞれゲイン調整を少しずつ変えて、走行中の録音を行いました。電源は、モバイルバッテリーによる外部電源で、内蔵バッテリーは入れていません。
かなりの撮影本数になったので、大変でしたよ!まるで仕事のようです!
まず、結論だけ先に書きます。
使えそうな組み合わせは、
- マイクアダプター:ELECOM T字型
- 外部マイク:オーディオテクニカ
- ゲイン調整:-4
でした。
マイクアダプターもマイクも普通に入手可能な製品なので、まあまあの結果と思っています。
ふたつ合わせてお値段もAmazonで4,600円程度(2024年3月現在)ですから、比較的お手軽に導入できますよね。
以下、それぞれの組み合わせの結果概要です。
UGREEN+バッファロー:ゲインを変えても音が割れている
UGREEN+オーディオテクニカ:音が小さい。ゲインMAXにしても不十分。
UGREEN+ノーブランド:音が割れている。音質悪い。
ELECOM+バッファロー:ゲイン+20でまあまあ聞けるレベル
ELECOM+オーディオテクニカ:ゲイン-4か-3でいい感じ
ELECOM+ノーブランド:端子の接触不良で使い物にならない
あくまでも私の手持ちのマイクとの相性なのですが、外部マイクの認識において優秀だったUGREENがダメだったのが残念です。
外部マイクの認識で準優勝だったELECOMのT字型が、音質面で優勝となりました。
ま、敢えて難点を言えば、ELECOMのT字型は、電源ボタンに半分干渉するのでちょっと使いづらいかなと。もともとDJI Osmo Actionの電源ボタンは押しづらいのは定評があり、どのみちグローブを外して親指の爪で押す感じになるので、まあいいかなと。
さらなる検証?
う~む、ここまで来ると、純正のマイクアダプターも気になる!でもお値段が6,800円ちょい(Amazon価格 2024年3月現在)もする。
また、ここまでマイクのクセ(特性の違い)があることを知ったので、他の良さそうなマイクも試したくなりました。
ちょっと沼にはまってきたようですが、この続きは後日投稿します!
次回、検証ファイナルに続く!