自分が事故死した場合を考える
自分が事故死した場合の対応マニュアルを書いてみました。
北海道ツーリングでは本当に命を落とす方もいらっしゃいますし、自分だけは大丈夫だなんて全く言えません。ましてや自分はバイク初心者。ライディングの経験値が最低ランクなわけです。自分で自分が心配です。
本当に自分に万が一のことがあった場合、残される妻がどういった対処をすればよいのか、出発に先立って妻に一通り説明しました。
ここでは、その対応マニュアルに書いた概要を共有したいと思います。
前提としては、自損事故で死亡するというケースとしています。実際にはいろいろなケースがありますが、キリがないので、シンプルな一例だけとしました。
なお、内容については、自分の両親が他界したときの、それぞれの対応経験を元にしていますが、両親とも交通事故死ではないので、一部当てずっぽうな部分がありますこと、ご容赦ください。
また、もしこれを参考にする場合は、ご自身の境遇に応じて、全く対応事項が異なることをご留意ください。
事前の準備
以下の手順で使用する、いくつかのものをあらかじめ用意しておきます。
- 緊急連絡先カード(自身で携行)
- 各種IDとパスワードの一覧表を入れた封筒(封印しておく)
- 準確定申告書(これが結構面倒だが、やっておくと後の確定申告で少し楽)
- (余裕があれば)遺産分割協議書のドラフト
死亡連絡
警察などから、妻に連絡が行く(スムーズな連絡のためにも、免許証の裏に、緊急連絡先を書いたポストイットとか、いつでもはがせるような紙を貼っておくとよいと思います)。
遺体は北海道にあり、おそらく確認のため来て欲しいとなる。身分証明書(免許証)と認印、喪服(北海道で葬儀・火葬の予定)を持って北海道へ移動。妹にも連絡を。
北海道での葬儀屋決定
移動中に現地の葬儀屋を探し(ゼロ葬に対応してくれる業者)、連絡して確保しておく。北海道は大きい都道府県なので、遺体のある場所に近い都市にある業者から選ぶことになる。
可能であれば火葬場から骨を持ち帰らない「ゼロ葬」にしたいので、それができる業者を希望。
損害保険連絡
移動中に損害保険会社に事故連絡
(連絡先を明記)
警察対応
交通事故であれば警察に提出できるものとしてドライブレコーダーの記録がある。バイクのシート下にドラレコがある。ドライブレコーダー本体内のSDカードに事故当時の様子が記録されているはず。バイクのキーを渡せば警察にやってもらえるかも。
(自分でSDカードを取り出す場合の手順を明記)
死亡診断書または死体検案書を受領
検死を受けると、死亡診断書(医者から)または死体検案書(警察から)がもらえる。
住所や本籍などが書いていない場合は、自分で補記しなければならない。住所、本籍、本籍筆頭者を記入する。
(記載すべき住所、本籍、本籍筆頭者を明記)
この書類は、今後様々な手続きで使うので写真に撮っておくなりスキャンしていつでもコピーを印刷できるようにしておく。
この書類(死亡診断書または死体検案書+死亡届)の原本は絶対に葬儀屋には渡さないこと。役所の手続きとかやりますよと、葬儀屋から要求されてもやんわり断り、コピーなら渡してOK。原本を握られるとそれを盾にその後の手続きができなくなり、言い値で代行されてしまう。手続きはすべて自分で行うと明言する。
遺体の安置と葬儀の概要打ち合わせ
検死が終わると、警察から遺体を引き取らされる。確保済みの葬儀屋に連絡し、遺体の移動、安置を依頼。
警察の紹介する葬儀屋(御用業者のため高いことが多い)は断る。既に手配が進行していたら、遺体の移動(自分が手配した葬儀屋の安置所まで)と、ドライアイスまでは譲歩して依頼。その後は自分の手配した葬儀屋で対応することを交渉。
葬儀屋と会話し、火葬場と葬儀の日を決める。たいていは火葬場の空き状況次第で最短の日に葬儀となる。
死亡届提出(死亡時から7日以内)
死亡診断書や死体検案書と一体になって「死亡届」のページがあるので、適宜書けるところは書いて、死亡地の役所に提出する。担当の役所がわからなければ警察に聞く。
提出の際には、届出人の身分証明書(免許証)、訂正用の認印を持っていく。
同時に「火葬許可申請書」を入手し(警察から供与されなければ届出先の役所で入手、役所のサイトにある場合も)、同様に記入して同時に提出。
死亡届は死亡時から7日以内だが、この作業を可及的速やかに行うこと。そうでないとこの後の手続きがすべて遅れ、例えば火葬許可証がもらえないので火葬できず、結構高い保管料がかかりつづける(火葬場の混雑状況にもよるが)。
葬儀しない
葬儀の「式」は不要。遺体安置してあるところから葬儀屋の部屋に遺体を移動、出棺、火葬場に車で向かう。ゼロ葬なら帰りはてぶら。
葬儀屋にもヒトを動かすからには最低採算ラインというものがあるでしょうから、ある程度はお付き合いしてあげる。不要なものは不要だが、ケチるつもりはない。最低ラインのオプションゼロでということで。すぐに燃やす棺桶とかは最低ランクでOK。ゼロ葬なら骨壷は不要。
火葬場では、普通は骨を持ち帰るので埋葬許可証が発行されるが、ゼロ葬ができれば、埋葬許可証は出ないはず。
帰京
葬儀まで北海道で行い、その後は東京で行うので、一旦帰京。
帰宅したら、公的な書類、パスポート、クレジットカード、マイナンバーカードなどを確認(それらの場所を明記)
除籍謄本の取得、住民票の抹消と世帯主の変更、国民年金の手続き
葬儀が終わって東京に帰ってくる頃には死亡届が区役所に連携されているはず。区役所で、除籍謄本の取得、住民票の抹消、世帯主の変更を行う。
除籍謄本は何かと使うので(少なくとも遺産相続手続きで)、取得しておく。
国民年金に加入しているので年金の手続きも必要。窓口に死亡手続きを相談(将来、遺族年金がもらえるはず)。年金は止めないと、保険料が引き落とされてしまうので(払いすぎたものは申請すれば戻ってくるが)、速やかに手続する。また死亡一時金が受給できるので必ず手続き。
健保は会社の健保の任意継続保険に入っているので国保は関係なし。
会社の健康保険組合
死亡届け
会社の健康保険組合のWebサイトで「死亡」の手続きを行う。
保険証返納と葬祭費請求
健康保険料を前納しているので戻しがあるかもしれないので質問。
保険証は財布に入ってるので返納。
友人・知人への連絡
スマホやPCのパスワードを置いていくので、適当な範囲でLINEやメール、SMSなどで連絡を入れてください。
(パスワードは封筒に封印して保管場所を明記)
金融機関についての注意事項
大原則として金融機関やカード会社には、相続による解約の時まで、口座名義人の死亡は伝えないこと。伝えた瞬間に口座や契約が凍結されて、口座引落ができなくなる。そうなるとすべて自分で支払わなければならなくなる。
(出発前に決済用口座の現金残高を上げておく)
支払口座・方法の変更
私のカード払いや銀行口座引き落としになっている料金の契約変更を早急に行う。この時に銀行やカード会社には絶対に名義人の死亡は伝えないこと。
(変更する主な業者やサービスを列挙しておく。支払いが滞ると、遅延損害金の大きいものを明記し、注意喚起しておく)
バイク保険請求
確実に請求すること。
相手方のある交通事故の場合、弁護士特約もあるので、相手との交渉はそれを使う旨を保険会社に連絡。
企業年金連合会
連絡して死亡時の手続きを行う。
IDECO(個人型年金)
口座管理証券会社を通じて記録機関JIS&Tへの届けが必要。
死亡一時金を受給する。
確定申告(準確定申告)
死亡してから4ヶ月以内に申告し、相続人が納税する必要あり。
(申告書は作っておき、提出先税務署の場所も明記)
故人の最終年度に支払うべき税金を納める必要があるが、遺産分割割合で負担することになっている。
遺産分割と相続
遺産分割と相続を進める
参考情報として以下を自分で書いておく
- 遺言書の有無(ないなら「ない」と記載してあるほうが、残されたヒトとしては気が楽)
- 相続人:あらかじめ調べておく
- 相続財産:銀行口座があれば金額によらず全部記載
- 遺産分割協議:希望する比率を明記(法定なら法定)
- 相続税の有無や概算を明記
- 遺産分割協議書の作成手順を明記(過去のサンプルなどもあるとよい)
- 遺産分割協議書を書くのが難しいとか、面倒な場合の、頼めそうな弁護士の連絡先を明記
- 不動産については相続登記:自分でもできるが、面倒な場合に頼めそうな司法書士の連絡先を明記
各種サービスの認証情報
放置していると請求が続くので(カードを解約してもダメ)、各種サービスを私のIDとパスワードで解約する。
(パスワードは封筒に封印して保管場所を明記)
クレジットカード対応と解約
銀行口座を解約し、クレジットカード支払の契約が残っていると、クレジットカード会社から直接請求書が届く。適宜タイムリーに支払う。遅れるとペナルティ金利が14%とでかいので注意。
請求の元となっている契約を解約していく。
残されたヒトが楽になることを願って
ざっと、だいたい以上かと思います。
ここまで準備するヒトは私以外いないのではないかと思いますが、葬儀についてどうしたいかや、遺言書の有無など、上記は実際に書いてあると、残されたヒトは非常に楽です。
本来なら、エンディングノートまで書いておくとよいのでしょうけど、最低限、事務的に対応しなければならないことについてのみ、まとめてみました。